番組審議会


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株式会社デジタルアドベンチャー番組審議会議事録<平成29年度>

(1)日時:平成29年11月2日 午後2時から午後3時30分
(2)場所:本社 会議室
(3)出席の状況:委員総数 5名 出席委員 4名
出席者氏名(敬称略):村木清司(知的財産教育協会理事)、春田美穂(デザイナー)
小島美和(クリエイター)、目黒一則(国立音楽大学講師)、村上舞子(フリーライター)
金泰佑取締役 放送本部長  原田美穂編成制作局 局長 杉本明久営業局 局長

1)議題
1.現況報告
2.KNTV DATVの番組について審議

2)審議

1.現況報告
DA:平成29年度の番組審議会を開催いたします。お手元の議題に沿って進行致しますのでよろしくお願い致します。それではまず、現況報告をさせて頂きます。
今年度は、KNTVとDATVが合併しまして多チャンネル事業として軌道に乗った年となりました。会社全体の事業としましては、マネジメント事業で注目の防弾少年団(BTS)のマネジメント契約を結びました。今年除隊したキム・ヒョンジュンをはじめ、キーイーストの俳優や他事務所のアーティストと共に、イベントを収録して放送する展開を拡大することができ、当社ならではのオリジナルコンテンツ展開として相乗効果が現れているといえます。
 次に編成面ですが、昨年韓国の編成が変更になったことで、今年度KNTVで放送することになりました時代劇ドラマ『師任堂』は、過去に人気でありました『宮廷女官チャングムの誓い』のイ・ヨンエが主役のドラマです。12年ぶりの出演ということで前評判も高く大型ドラマとして注目を浴びました。一方DATVでは、『花郎』というフレッシュな時代劇を放送しました。キーイーストの俳優、パク・ソジュンをはじめ、今をときめく人気アイドルが名を連ねる注目のドラマでした。この展開で、スカパーガイド誌の2誌の表紙を当社で独占するなど、放送業界からも注目を浴びる展開となりました。
また、KNTVは、昨年から引き続き20周年キャンペーンを行い、視聴者サービスを展開し続けております。DATVは、今回審議委員のみなさまにご覧頂きました企画営業番組として、福岡ヤフオクドームで福岡ソフトバンクホークスと東北楽天イーグルスの公式試合で登場したアイドル、VIXXに密着するオリジナル番組を展開するなど、これまでにない形式の番組展開も行いました。両チャンネルで行ったことは、『百想芸術大賞』を当時放送することなどのチャレンジ、また、東方神起が除隊すること、また入隊するアーティストを踏まえて人気アーティストに特化したスペシャル編成を行うなどの工夫も行いました。

最後に、新しいチャレンジについてご紹介します。放送事業の未来を見据えて、配信事業にも力を入れる時代となりました。来年1月に新しくスタートするNTTdocomoのプラットフォームdtvチャンネルに新しく1チャンネルを開局することに致しました。モバイル配信が基本となるメディアです。KNTV DATVをサイマルで配信ができれば良いのですが、最新最速のプログラムをお送りしているプレミア放送という特性上、最新作について配信の権利を同時に取得することが難しい状況にあります。また、モバイルのターゲットとKNTV DATVのターゲットが相違するのではないかと判断し、モバイル向けのライトなコンテンツを揃えて別編成にすることを予定しています。以上がご報告でした。

2.KNTV DATVの番組について審議
KNTV:ドラマ『師任堂』
オリジナル番組『Kim Myung-Soo ~L~First Fanmeeting in Japan』
DATV:オリジナル番組『VIXX1(ワン)ダホー!』
ドキュメンタリー『イ・ミンホのネイチャードキュメンタリー DMZ THE WILD』

DA:それでは、まずKNTVの番組審議から始めさせて頂きます。
最初にドラマ『師任堂』です。このドラマは『宮廷女官チャングムの誓い』で一躍人気となりましたイ・ヨンエが主役のドラマです。近年韓国は中国との共同制作や出資を受けてコンテンツ制作をすることが増えています。この作品は昨年度の秋に放送をする予定でしたが中国の編成が延期された煽りを受け、韓国の編成も遅れたことから玉突き状況で日本の放送も遅らせざるを得なくなりました。よって、今年度の放送となった事情が背景にありますが、結果韓国とほぼ同時放送という編成になりました。編成変更を出すなど大変な状況もありましたが、作品としては期待され、待望の放送となりました。それではお願い致します。
A:12年ぶりのイ・ヨンエの登場ということで、権利の獲得競争が激しかったのではないかと察します。初放送についての版権獲得の人気はいかがだったのでしょうか。
DA:仰るとおり、前評判も高く、大変な競争となりました。KNTVで放送すべき作品として編成としては視聴者のご期待に沿うため、必ず獲得しなければならない作品として交渉をしました。
A:編成が延期になった時はクレームなどありましたか。
DA:ネット上でリアルタイムにニュースが見られる時代なので、韓国の編成状況のニュースは流れていました。視聴者の方々をはじめ、プラットフォームからも問い合わせが多く来ることを覚悟していましたが、情報が流れることでご理解を頂くことができ、編成上で大きな混乱を招くことはありませんでした。
B:私はチャングムのファンでした。イ・ヨンエさんの作品ということもあって期待して拝見しました。実在の人物を描いたということで、悲恋も絡み期待しておりましたが、時代の行き来の展開が激しく少しついて行けない部分もありました。演出された映像は美しいと感じましたが、本格時代劇を望んだ方々には少し物足りない部分があったのではないでしょうか。
C:視聴者の好みにもよると思いますが、私も同じように感じました。このような原作や脚本は流行があったりするのでしょうか。
DA:はい。最近の時代劇は、比較的フュージョンが入るものが増えているように思います。
実在の人物ということもあり本格時代劇を望まれた方には少し違う内容に仕上がっている作品でした。
C:『星から来たあなた』あたりからでしょうか。あのドラマがヒットしてからそのような傾向があるように感じますが。
DA:そうですね。韓国ドラマも視聴率競争なのでやはり流行や傾向はあります。『冬のソナタ』時代から比較しますと、様々なジャンルのドラマが増えたと感じています。KNTVは最新のドラマを複数お送りしている局ですので、韓国で人気のあるドラマのみならず、新しいジャンルのドラマも編成し日本の視聴者の方々にもご紹介したいと考えています。
D:私は時代劇ファンです。KNTVは時代劇についての反響はいかがでしょうか。時代劇は日本では作られなくなり、韓国の豪華な時代劇に期待しているところがあります。時代劇が制作されているのでしたら、どんどん放送してほしいと思っています。
DA:KNTVの視聴者からは時代劇のリクエストが多くあります。韓国で時代劇が編成されていない時期にはこちらでも編成が出来ないわけですが、リクエストがあるので名作シリーズとして20周年記念枠を作りました。豪華な内容である制作費は新作でなくても需要があるようです。
A:高齢化社会である日本とKNTVの視聴者構成は関係が深いと思いますので、ニーズがあるものを編成すべきですよね。時代劇コンテンツが増えることを期待したいです。
B:韓国と日本の反響の差はあったのでしょうか。
DA:ほぼ同時放送で、韓国は地上波、日本はCS放送ということで同じ土俵での評価はできないですが、チャングムほど大きな反響は今回はなかったように思います。編成延期やフュージョンという要素もあったかもしれません。しかし、日本では韓国ドラマは初放送から回を重ねるごとに評判を呼ぶこともありますので、今後が同評価であるか私共もウオッチしたいと思います。
A:プレミアチャンネルとして加入や編成の費用対効果はいかがでしたか。作品の取り合いで価格が高騰したと察しますが。
DA:KNTVの視聴者は長期契約が多い視聴者の方々ですが、一度解約された方が戻られるきっかけになった作品ではないかと見ています。前評判が大きいこともあり効果はあったと見ています。何よりもKNTVという韓国総合編成のチャンネルとして、視聴者の方々の期待が大きく、なくてはならない作品であったと思っています。

それでは、次の番組の審議に移らせて頂きます。
『Kim Myung-Soo ~L~First Fanmeeting in Japan』は、当社のマネジメントが主催で行っているファンミーティングを収録して放送したものです。マネジメントやファンクラブを運営している当社の強みでもありますが、アーティストの活動や魅力を伝えるうえでも相乗効果を得ているプログラムです。INFINITEのメンバーであるLの初めてのソロファンミーティングというイベントでもあり、今年度KNTVで放送をした時代劇ドラマ『君主~仮面の主人』にも出演していることから歌手として俳優としての魅力を伝える番組となりました。
B:ドラマとの関連編成というのは効果的だと思いますし、特にアーティストの素顔がのぞけるファンミーティングという手法のイベントをオリジナル番組として放送できるのは会場に足を運べないファンの方に有効だと思います。内容も面白かったです。チケットがとれないこともあるのでしょうか。
DA:はい、もちろん人気アーティストは抽選で落ちてしまうイベントがあります。よって番組化できることはファンサービスにもつながります。
D:このような番組がドラマをも除くと最もKNTV DATVの強みであり、他の放送局にはない独占的で有効なプログラムだと思います。単発の番組はレギュラーのドラマなどに比べると加入効果について疑問はありますが、その点はいかがでしょうか。
DA:単発番組は継続契約という点では増減するプログラムではありますが、この形式を継続することが必要だと考えています。人気スターのプログラムは華やかで視聴者が期待している番組でもあり、単発であったとしても多彩な番組をお送りするうえで編成に必要なものという認識です。
D:ファンからすると俳優やステージで歌ったり踊ったりするだけではない部分が見られるということでたまらない番組だと思います。バックステージなどは撮影できないのでしょうか。
DA:ファンミーティングの良さは、フレンドリーな素顔が見られる点にあります。バックステージの撮影については毎回交渉しますが、演出や構成により撮影できないことも多いです。
A:年間何回このような番組があるのですか。
DA:その年の状況にもよりますが、両チャンネルで数回ずつあります。
A:撮影できないイベントもあるのでしょうか。
DA:はい、あります。アーティストの活動状況やファンクラブのみのサービスという考え方で公開しない場合もあります。
C:イベント自体の構成が放送と連動することはあるのでしょうか。
DA:はい、放送告知を兼ねてドラマの紹介や放送日時のアピールを入れることもあります。
C:それは良いですね。
B:ファンサービスを番組化するというのは、双方にとってメリットもありますし、視聴者やファンも拡大にもなると思います。とかく韓国のスターは礼儀正しく一生懸命に日本語を勉強するなど、韓流ブームが起きた要因もこのファンミーティングにあるのではないでしょうか。継続して多く放送した方が良いと思います。
DA:ありがとうございました。社内外のマネジメントと連携してこれからもイベント収録を積極的に行い、番組としてお届けしたいと思います。

DA:それでは、次にDATVの番組審議に移らせて頂きます。
まずは『VIXX1(ワン)ダホー!』です。
今回ご審議頂きました番組は、冒頭にもお伝えしましたとおり、企画営業番組として成立したオリジナル番組です。当社では視聴料収入が主な事業構造となっていますが、企画営業も行っております。広告をはじめ、ゼロから企画し協賛をつけて番組化するものです。今回の番組はタイアップが主体となり、キャスティングからはじめ、密着番組として仕上げることができました。日本における韓国コンテンツのパワーの理解がクライアンド側にも拡大する機会になればと思っています。いかがでしたでしょうか。
B:野球というスポーツは韓国の若者には人気があるのでしょうか。
DA:野球は韓国でも人気があります。日本のプロ野球選手にも韓国の選手がいますし、韓国でも同様、裏表のチェンジ時間に観客をLED画面に映し出し、イベントを行うなどプロ野球が楽しめる仕組みになっています。
B:そうですか。日本のスポーツと絡めて登場する試みについては、新しいと思いました。またK-POPファンではない人たちが触れる機会にもなるので、企画としてはターゲット拡大に一役買う展開だと思います。
放送局だけでも何百とあるわけですから、視聴料と共に協賛費や広告費はシェアの奪い合いになりますよね。このような企画は成功例として次に活用できる内容だと思いました。
A:企画営業ということですが、以前番組内にCMは入れないと聞きました。企画番組でそれを要求されることはないでしょうか。お金を出す側としてはなるべく本編中に商品や企業ブランドに触れてほしいということが目的だと思います。今回の番組は商品PRとは絡んでいないのでしょうか。
DA:今回の企画はイベント主催社がタイアップクライアントとなりますので、まずは効果的なキャスティングから協力し、イベントの模様を番組化することで一次的なイベントの集客、二次的な番組の視聴という二段構造で展開しました。この展開によりイベント自体のPRにもなり、満足して頂いたと自負しております。
A:わかりました。番組ですが、私はもう少し映像が欲しいと思ったシーンもありました。スターの密着はスケジュールや稼動の都合上難しい点もあると思いますが、密着にひと味ほしいと感じるところもあった次第です。
DA:具体的にはどのあたりでしょうか。
A:全体的にメンバーの個性がもっと欲しいという点です。
密着と言えども事前構成の段階でクローズアップ企画を入れても良いと思いました。
D:そうですね。密着バラエティとしては韓国エンターテイメント番組にある手法だと思います。リアルなドキュメンタリーと違いバラエティの楽しい要素を盛り込むことが密着バラエティの醍醐味だと思います。
キャスティングをする時は何を指標にするのですか。
DA:これはメディア事業をしている強みだと思うのですが、中立の立場で各アーティストの反響が視聴状況でわかるという良いポジションにいます。
番組でもイベント事業でも当社はキャスティング会社に任せることなく、独自で行っていますが、視聴実績やイベント事業実績で判断し、交渉を行っています。
C:私は視聴して企画営業番組だと感じる場面がなかったことがむしろ良かったところだと思っています。民間放送には必要なことではありますが、地上波とは違い、番組企画の在り方について効果的な手法を生み出して行く役割もあるのではないでしょうか。
DA:その点につきましては、私たちも衛星放送協会の基準に沿って放送をしておりますので、広告基準というものがあります。民間放送基準に準じるものですが、広告については明示する義務もあります。様々な手法や時代と共に進化する部分もありますので、基準に沿いながら新しい展開が出来ればと思っております。他にはありませんでしょうか。

それでは、次に『イ・ミンホのネイチャードキュメンタリーDMZ THE WILD 』についてご意見をお聞かせ頂ければと思います。韓国で最も美しく悲しい場所、50年間出入りが禁止されているDMZの自然を描いたものです。韓国で話題を呼んだドキュメンタリー『アマゾンの涙』『南極の涙』を制作したチームが1年5ヶ月をかけて負い続けた作品です。
A:これは珍しいコンテンツだと思いました。非武装地帯の番組はよくあるのでしょうか。
DA:詳しく把握はしておりませんが、色々な視点で取り上げられることはありますが、今回のように長期に渡り足を踏み入れる企画は初めてのようです。
A:制作目的を理解したいと思いながら見ました。広報の要素があると思うのですが休戦という状況の中で、この地帯が存在すること、そして平和や環境について問いかけることを目的に制作されたと感じました。
D:最初以外は、俳優もあまり登場せず完全な環境ドキュメントの要素が強いので、人気俳優をフロントに、理解を広めてもらう形式でしたね。イ・ミンホ自身もボランティア活動をするなど、日頃から社会的貢献をしている俳優と認識しているので内容がマッチしていると思いました。
DA:イ・ミンホはこの自然保護の視点に賛同して出演したと聞いています。
B:非武装地帯という点、50年間手付かずの野生動物や原生植物の研究対象にも成り得る場所である点、そして人気俳優、という3つの要素があれば映像化する大きなテーマが揃っていると思います。しかし、一部だけに俳優が出るという手法はちょっと物足りなかった。
全編にわたり彼の考え方やもう少し深い分部に関わってほしかったという作りでした。主旨は伝わるのですが、完全な環境ドキュメントと俳優出演部分が別に構成されているように感じた点は惜しいと思いました。
C:所謂韓流ファンという方々がご覧になっているわけですが、ドキュメンタリーの放送についての反響はいかがでしょうか。
B:そうですね。俳優が全編に関わらない番組についても反響があるのか、知りたいところです。
DA:これまでKNTVの方で、韓国MBC制作の大型ドキュメンタリーの放送をしてまいりました。環境シリーズの『アマゾンの涙』などですが、KNTVの視聴者は、ドラマだけでなく総合編成ということで、ニュースやドキュメンタリー枠があることで韓国文化全般に興味をお持ちの方が多いです。今回はDATVでイ・ミンホのドラマをこれまで放送していること、同時期に他局でドラマを放送していることもあり、相乗効果を狙って放送しました。
入り口が俳優だったとしても、ドラマや音楽だけのファンではなく、韓国文化全体に興味をお持ち頂くことも我々の使命だと思っています。やはり、人気俳優ということもありリリースを出した時点で反響がありました。ドキュメンタリーの放送反響についてはドラマのように大きく加入が伸びるということはありませんが、視聴者満足にはつながっていると考えております。
C:私自身はドキュメンタリーが好きですが、韓国のドキュメンタリーを見られる場所は少ないと思います。CS放送ならではと申しますか、非武装地帯というものがどのような場所であるか、手付かずの野生地帯になっているということにおいても、お互いの理解を深めるためにもこのような番組を放送することは有効なのではないかと感じます。
DA:ありがとうございました。私たちはアジアエンターテイメントで生活に彩りを、と考え放送事業をしておりますが、意義ある番組もお送りする役目があると考えています。
2チャンネルあるからこそ、様々な番組がお送りできるという状況にありますので、これからも意義ある番組もお送りしてまいりたいと考えております。
また、年末は恒例の韓国からの生中継も両チャンネルで予定しております。毎年楽しみにしておられる視聴者に向けて年末年始編成も充実させております。今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い致します。
本日は貴重なご意見をありがとうございました。


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