「緑豆の花(原題)」のあらすじ
1894年、全羅道(チョルラド)。役人たちは税金着服、収賄など不正三昧で私腹を肥やし民は食べるものもなく苦しい生活を強いられていた。役人の庶子として生まれたイガン(チョ・ジョンソク)は幼い頃から民に暴行を働くよう父に育てられ、庶子という負い目から鬱憤を抱えながら生きていた。イガンの腹違いの弟イヒョン(ユン・シユン)は本妻の子としてエリート教育を受け日本留学から戻る。義母兄弟という関係でありながら、イガンは心優しい弟を可愛がり、イヒョンもまた兄を慕い、自分が生まれたことがイガンの立場を追い詰めたと思い兄に対する罪悪感を抱いていた。民衆の不満が募る中、イガンはある日商人のジャイン(ハン・イェリ)と口論になり非難される。一方その頃、東学の指導者であるチョン・ボンジュン(チェ・ムソン)は身分差のない世界を目指し農民運動を密かに計画中だった。やがてイガンは、ボンジュンとの出会いから自分の道を見出し革命に身を投じていく。そしてジャインもまたイガンの本当の心の内を知り、運命を共にするように。そんな中、イヒョンは徴集され、農民軍の討伐に駆り出されてしまう。農民を想い立ち上がった兄と、誰よりも民のことを考えながらも時代の荒波に巻き込まれ銃を手にした弟、兄弟は敵同士として再会することになり…。
各話あらすじ
- 第1話1894年の全羅道の古阜。役人の息子イヒョンは留学から故郷の古阜に帰る道すがら、貧しさと飢えに苦しむ民の姿を目の当たりにする。一方庶子として生まれ凶暴に育ったイガンは、今日も民を力で押さえつける。身分の違いから仲よくできない2人の異母兄弟はお互いに胸を痛める。父親の命令を受け、東学の指導者チョン・ボンジュンを監視するイヒョン。チョン・ボンジュンは仲間を集め農民運動を計画し着々と準備を進めるのだが……。
- 第2話役人たちの不正でろくに米も食べられない民の不満は頂点に達し、ついに農民運動へとつながっていく。怒りを爆発させた民はチョン・ボンジュンを先頭に「民に米を!」を合言葉に悪事を働いていた役人の家に次々と乗り込んで行く。ソン・ヒオクが庭に引きずり出されたペクの妻チェ氏を手に掛けようとするが、イガンの母に必死に哀願され思いとどまる。ジャインの商団にも農民たちの蜂起が耳に入り、団員たちの間に緊張が走る。
- 第3話イヒョンのおかげで一命をとりとめて家に戻ってきたペクはすぐさまジャインを連れてこさせる。ジャインの任房から逃げる時に東学党の通文を手に入れたペクは、それを口実にジャインを脅し、米の文書を返してもらう。その場でお互いに文書をやぶって別れる2人。腹を立てて帰ろうとするジャインを呼び止めたイガンは、ジャインの首にかかっている十字架を目にする。そして2度と目の前に現れるなと伝えてジャインを見送る。
- 第4話父親のペクに吏房の役職を拒むと伝えたイガンは、イヒョンの挙式後、母親と古阜を離れて農作業をしながらほそぼそと暮らすと話す。ペクはそんなイガンを殴りつけて一切受けつけなかったが、最後のは承諾する。外で2人の会話を聞いていたユウォリはようやく願いがかなうと喜ぶ。イヒョンは日本で買ってきた手袋をイガンに渡す。一方、ジャインはチェ行首と共にチョン・ボンジュンに会うために、人の集まる場所を聞いては向かう。
- 第5話吏房決定の期日が近づき、ペクは仕方なくホンを後釜に据えることに決める。話を聞きつけたファン進士はホンを脅し、イヒョンを兵として召集させる。目の前でイヒョンが連れ去られる様子を見て、驚きのあまり腰を抜かすミョンシム。イヒョンは必ず生きて帰ってくると約束してその場を離れる。突然の召集にペクと家族は涙でイヒョンを見送る。東学の居場所に向かったイガンはチョン・ボンジュンに会い、共に戦いたいと申し出る。
- 第6話チョン・ボンジュンが率いる兵士たちは徐々に勢いづき、徐々に勢力を増していった。他の義兵たちと一緒に訓練を受けるイガンは右手が思うように動かず、常に一歩後れを取る。使いものにならないという意見が出る中、チョン・ボンジュンはイガンをかばう。一方、鄕兵として徴兵され、兵士たちと共に目的地に向かっていたイヒョンは、前日飲んだ井戸水のせいで途中で倒れてしまう。ちょうど居合わせたジャインと再び出会うのだが…。
- 第7話黄土ヒョンの監営軍駐屯地。東学軍と監営軍の激戦が繰り広げられる中、偶然出会うジャインとイガン。しかし2人はすぐに引き離されてしまう。全州の任房には黄土峴で監営軍が大敗した知らせが届き、都接長とチェ行首はジャインを心配する。目を覚ましたジャインは東学軍に捕まってしまう。生きて戻ったイヒョンはソクジュに会いに行くが、ミョンシムとの婚礼の日を延期しようとするソクジュを見て、裏切られていたことを確信する。
- 第8話ペク家を再び興すというイヒョンは、イガンを家に連れ戻すために、イガンが連れてきた東学軍の仲間を生け捕りにしようと密告する。冷酷な人間に変わってしまったイニョンは兄弟に縁を切ると告げ、頑なに抵抗するイガンを家から逃がす。
全州に帰ろうとしていたジャインとチェ行首は漢陽から送られた官軍に捕らえられるが、チェ行首の部下だったイ・ギュテに助けられる。招討使ホン・ゲフンは東学軍を一気に制圧しようとするが…。
- 第9話全州陥落の知らせを聞いて官衙に向かったイヒョンは郡守は古阜に残り、ファン進士を全州に向かわせるべきだと提案する。じわりじわりとファン進士に復讐しようとするイヒョン。イヒョンも同行すると聞いたミョンシムはイヒョンに兄を許してほしいと頼みに行くが、イヒョンは冷たくあしらい去ってしまう。一方、東学軍によって解散させられた全州の任房。イガンはジャインを訪ね心配するなと告げるがジェインはイガンを避ける。
- 第10話仲間を撃った敵に一撃を加えたイガンは、相手がイヒョンだと知らぬまま追う。イヒョンの顔を見たボンゲは一瞬の迷いで撃たれてしまう。命からがら逃げたイヒョンは山中でイ・ギュテに助けられる。都接長にすっかり東匪になったとなじられるジャインは、東匪を好きになって悪いのかと居直るが、都接長は黙って見守る。負傷して古阜に帰ることになったファン進士に、イヒョンはミョンシムとの婚礼を必ず見せてやると告げる。