「王になった男(原題)」のあらすじ
朝鮮王朝時代、道化師のハソン(ヨ・ジング)は妹と共に芸を披露しながら全国を旅していた。漢陽(ハニャン)を訪れたハソンたち一行は、王のイ・ホン(ヨ・ジング/2役)を揶揄する芸を見せる。その場に居合わせた王の側近イ・ギュ(キム・サンギョン)はハソンの芸をやめさせようとするが、仮面をとったハソンの姿を見て息を呑む。ハソンは王に瓜二つの顔立ちをしていたのだ。イ・ギュはハソンに王の影武者をさせるため、宮廷に連れてくる。宮中に渦巻く陰謀から、一度は宮廷を逃げ出すハソンだが、庶民がふみにじられる現実を知り、次第に本当の王になって世界を変えたいと願うようになる。一方、王妃のソウン(イ・セヨン)は冷酷な王から距離をおいていたが、ある日突然優しくなった王に戸惑いつつも、次第に惹かれていく。
各話あらすじ
- 第1話 いざ漢陽へ旅回りの一座で道化を演じるハソン。ある日、地方の屋敷で一席設けてもらうが、王様を笑いものにしたという理由で、びた一文ももらえず追い出されてしまう。怒ったハソンは屋敷にあった甕を割って魚を盗むが、それが原因でその町にはいられなくなり、漢陽へ向かうことに。その頃、国王イ・ホンは、自分の命令により死んだ弟イ・ユルの悪夢と、自分の命を狙う刺客のせいで眠れぬ日々を送り、精神的に追い詰められていた…。
- 第2話 出会い自分の腹心である都承旨が連れてきたハソンを目にした国王イ・ホン。ハソンとイ・ホンは顔、背格好、声の全てが似ていて、互いに驚きを隠せない。そしてイ・ホンはハソンが王宮に来たのをいいことに、逃げるようにして王宮を去ってしまう。一方のハソンは、王の代わり役になってほしいという都承旨の頼みを断るが、“一生 楽して暮らせるだけの財を与える”という好条件に、引き受けることにする。早速、王としての暮らしが始まるが…。
- 第3話 代わり役の条件妹のダルレが受けた仕打ちに憤るハソンは失意のまま王宮に戻り、都承旨に“王の代わり役として死ぬので、にくき相手を殺す術を教えて欲しい”と涙ながらに告げる。国王イ・ホンの了承を得た都承旨は、ハソンと共に刺客の黒幕探しを始める。まず最初に都承旨が目を付けたのは、イ・ホンに実子と実父を殺された恨みを持つ大妃。“大妃様の前で一騒動起こしてこい”と命じられたハソンは、そのとおりに実行するが、それを見た王妃に苦言を呈されてしまう。
- 第4話 呪い狩りの最中に刺客に矢を射られたハソンは、事前に何の忠告もしなかった都承旨に怒りながらも、刺客の重要な手がかりとなる“矢先”を都承旨に渡す。ある日、王妃が暮らす中宮殿で側室たちがお茶を飲んでいると、宣化堂が急に倒れ込んでしまう。御医は、原因は毒草であり、中宮殿でお茶を飲んだあとに体調を崩したのは確かだとハソンに報告する。さらには宣化堂を呪い殺そうとした証拠や証人まで現れ、事態は一気に王妃に不利になっていく。
- 第5話 道化の死人けのない崖の上で、何の前ぶれもなく都承旨イ・ギュに“道化のハソンは死んだ”と言われたハソン。都承旨の肩を借りて、傷をかばいつつ何とか王宮に戻るが、熱を出して体調を崩してしまう。次々と拝謁を求めてやってくる臣下にチョ内官は“王様は軽い風邪で拝謁はできない”と答えるが、左議政シン・チスはそれを信じようとしない。その頃、山奥にあるお寺では王イ・ホンが自らを傷つけ、脈が感じられない程にまで衰弱してしまっていた。
- 第6話 隠せない思いハソンの優しさに触れて少しずつ心を開いてきた王妃は、ハソンが書庫でうたた寝をする間に自分の思いを告白する。そしてそれを寝たふりをして聞いていたハソンは、うれしく思いつつも、王妃が見ているのは自分ではなく国王イ・ホンなのだと気づき苦しむ。その頃、人並み外れた計算能力を持つチュ・ホゴルは、人けのない場所で都承旨と会う約束をしていた。遅れてきた都承旨に歩み寄ろうとした時、暗闇の中から短剣が投げられ、ホゴルは倒れてしまう…。
- 第7話 輪図寺の庵で、両手を縄で縛られたイ・ホンを見つけたダルレ。ダルレはその容貌から兄だと思い込み、助けたい一心でイ・ホンの縄をほどいてしまう。一方のハソンはその頃、重陽の節句でにぎわう街で、王妃と2人だけの時間を過ごしていた。庶民の食べ物を“おいしい”と言い、“顔が近くに見えるから小さな家に住みたい”と語る素朴な王妃に、ハソンの思いは膨らむ一方。そして夜の市場で、王妃は特別な思いを込めてハソンに輪図(羅針盤)を贈る。
- 第8話 王の決意国王イ・ホンに手渡された勅書を握りしめ、呆然と立ち尽くす都承旨。そこには“王妃を廃位し毒薬を賜う”と書いてあったのだ。ちょうどその頃、イ・ホンは王妃との床入れに臨んでいたが、急に体調不良を訴えると、意識を失って倒れてしまう。薬に侵された体を御医に診せることもできず、都承旨はやむを得ずイ・ホンを王宮の外へ連れ出し、治療することを決断する。ところが2日後はイ・ホンの誕生日で、姿が見えなければ怪しまれる状況であった。
- 第9話 告白誕生日の贈り物として王妃から“千年離れていても愛する心は変わりません”という刺繍が施された筆入れをもらったハソン。そんな王妃にハソンは自分の思いを告白し、二人の間には穏やかな時間が流れ始める。ところが、王宮の外では不穏な動きが出始めていた。左議政の職を解かれたシン・チスが、イ・ホンとうり二つの顔を持つ道化がいると聞きつけたのだ。町じゅうに自分の似顔絵が張り出される事態に、ハソンは大きく動揺するが…。
- 第10話 一番 大切なもの初雪が降る中、2人きりの時間を過ごしたハソンと王妃。2人が宮殿に戻ってくると、そこには厳しい顔をした都承旨が待っていた。ハソンと王妃が相思相愛になった事に気づいた都承旨は、ハソンに思いを断ち切るよう迫り、ハソンも涙ながらにそれに従う。その一方で都承旨は官奴出身のチュ・ホゴルを正五品に昇進させ、大同法施行のための土地調査を始めようとしていた。王座を狙う晋平君と手を組んだシン・チスはそれを阻止するため計略を巡らし始める。