「根の深い木」のあらすじ
各話あらすじ
- 第11話
世宗は文字創製の最後の課題であった、喉音を表す字を編み出すため、白丁カリオンに遺体の口とのどを解剖させた。
それは儒教の精神に反する行為であったため、文字創製にかかわる人々からも批判され、説明を迫られる。
解剖をした理由は、新たな文字に自然の理を反映させることで、普遍性を与えるためだった。
カン・チェユンの元に、「トルボク」の名を知る男が訪ねてくる。
師匠イ・バンジの手下だったが、まともに話す間もなく密本のピョンに殺されてしまう。
その後チェユンは、イ・バンジが密本の初代本元チョン・ドジョンの護衛武士だったことを知る。
バンジはドジョンが死んだ日の夜、密本之書を持って姿を消したのだった。
第3代本元であるチョン・ギジュン(カリオン)は、24年ぶりに密本員を招集して決起集会を開く。
だが元老たちは活動に加わる条件として、密本之書の提示を求めるのだった。
- 第12話
父親の遺書が密本の所にあると知ったチェユンは、密本をおびき出すため、密本之書と入れ替わったきんちゃくの絵を描いて街じゅうに張り出した。
元老たちとの会合がある4日後までに、密本之書を取り戻す必要に迫られたチョン・ギジュン(カリオン)らは、トルボクの出現に色めき立つ。
だが約束の場所にトルボクは現れず、次の場所を指定されたのだった。
きんちゃくの絵の張り紙を見たソイは、幼なじみトルボクが生きているのかもしれないと考え、世宗に嘘の理由を告げて指定場所に出向く。
2つめの指定場所で、同じ家の使用人だったソクセおじさんと再会し、トルボクの生存を確信する。
トルボクにしか解けない暗号を張り出したソイ。
だがその直後に、密本に拉致されてしまう。
しかし密本をトルボクとの待ち合わせ場所に案内するふりをして、川に飛び込み脱走に成功した。
チェユンはソイの失踪を知り、彼女が幼なじみタムであることに気づく。
そこで暗号が解け、昔、2人でしりとりをした裏山へ向かうのだった。
- 第13話
チェユンとソイは、トルボクとタムとして再会する。
チェユンに苦しかった胸の内をすべて伝えたソイは、いつしか失語症を克服し、言葉を発せるようになっていた。
そんな2人の元に密本が現れ、密本之書を奪っていく。
チェユンも殺されそうになるが、剣豪ムヒュルに救われる。
現場に駆けつけた世宗は、父親の件をチェユンに謝罪し、2人で遠くに去って新たな人生を歩むよう勧める。
2人はいったん世宗の言葉に従うが、ソイは文字創製の任務のため、宮廷に戻る決意をする。
チェユンも説得して連れ帰ろうとするが失敗に終わり、ソイだけが世宗の元に戻る。
王の暗殺という目標を失い、ソイにも去られたチェユン。
自決しようとするが、思いとどまって宮廷に引き返し、殺意を胸に戻ってきたチェユンを、世宗は自ら迎え入れる。
一方、密本之書を取り戻したチョン・ギジュンは、元老たちの協力を取りつけることに成功し・・・。
- 第14話
チェユンを宮廷に迎え入れた世宗は、彼が自分を暗殺しに来たのではなく、自決しに来たことを見抜く。
誠心誠意で文字創製の意義を語り、審査官になるよう説得するが、チェユンの絶望を覆すことはできなかった。
密本のチョン・ギジュン(カリオン)は、世宗の進める極秘事業が文字の創製であることに気づく。
学士殺害の実行犯であるピョンを自首させることで、文字創製について世間に暴露する。
その暴露により、宮廷内は大騒ぎとなり、事業の本拠地である慶成殿を公開するまで、職務につかないという抗議行動まで始まってしまう。
世宗は慶成殿の公開を決め、密かに資料を運び出そうとする。
だが、その過程で世宗の五男である広平大君と女官ソイが、資料とともに密本に連れ去られてしまう。
しかし、それに気づいたチェユンが一行の前に立ちはだかる。
- 第15話
密本に拉致されかけた広平大君と女官ソイを、救出したチェユン。
文字創製にかかわると命が危ないと考えた彼は、ソイだけを連れ去ろうとする。
だが、それを阻もうとした広平大君との間で口論になる。
「世宗は息子の命より文字を選ぶ」と断言した大君に対し、チェユンは賭けを提案した。
世宗が文字を選べば自分は王に服従するが、息子を選べば大君を殺すというものだった。
チェユンは世宗が作った文字が全28文字と聞いて驚く。
実際にソイから教わってみて、民への普及が可能なことを知り、文字創製への否定的な態度を改める。
密本の早とちりから、世間や宮廷は密本が大君を監禁したと思い込む。
文字を捨てるか大君を捨てるか迫られた世宗は、文字を選んだ。
ところが最愛の息子の死を覚悟した世宗の元に、大君とソイ、チェユンが姿を現したのだった。
- 第16話
広平大君との賭けに負けたチェユンは、世宗への服従を誓う。
そして密本の本元チョン・ギジュンを捕らえるため、次のような奇策を講じることにした。
世宗暗殺を目論むチェユンが大君を殺したと密本に思い込ませる。
その後チェユンは密本と手を組むふりをして、組織の中枢部に入り込むのだ。
世宗は文字の頒布を実現するため、積極的に議論を戦わせると同時に政治取引を試みる。
集賢殿を撤廃する代わりに、頒布を認めさせようとしたのだ。
チョン・ギジュンは、新しい文字を頒布しても普及せずに消滅すると考え、その取引に応じようとする。
だが、実際に世宗が作った文字を目の当たりにし、急遽、頒布阻止へと方針を変えたのだった。
- 第17話
集賢殿の撤廃を条件に文字の頒布を認めさせるという世宗の作戦は、密本チョン・ギジュンの心変わりにより失敗に終わった。
文字の頒布阻止を最優先課題に据えたギジュンは、次々と妨害工作を展開する。
まず、パン村の下男を科挙会場に送り込み、ギジュンの答案を提出させて首席合格させた。
首席合格者が賎民と判明するや、宮廷内外は騒然とする。
怒った若い儒生がギジュンの指示を受け、首席合格した下男を刺殺し、自らも抗議自殺を図る。
一連の事件で、文字の正式を頒布することが困難となる。
ギジュンは、文字の頒布に対する世宗の執念を知り、武力面の強化を図る。
その一環として、初代本元チョン・ドジョンの護衛武士であり、チェユンの師匠であるイ・バンジに協力を要請した。
かたや、チェユンもチョン・ギジュンの所在を突き止めるべくイ・バンジを捜すことにする。
ところが出がけに寄ったカリオンの家に、なんとイ・バンジが来ていたのだった。
- 第18話
師匠イ・バンジに再会したチェユンは、密本チョン・ギジュンの情報を得ようとするが、チェユンを巻き込みたくないバンジは教えようとしない。
チョン・ギジュンは文字の頒布を止めるため世宗の殺害を決意したが、世宗はギジュンとの討論を望んでいた。
イ・バンジはギジュンに世宗の意向を伝えるが、それ自体が裏切りだとされ、密本に殺されかける。
同じ頃、広平大君を殺したというチェユンの嘘もばれ、密本の怒りを買ってしまう。
チェユンはカリオンの家が密本の隠れ家であることを突き止める。
ギジュンとの討論が実現せず気落ちした世宗は、カリオンに肉を持たせてチョンリュン岩に出かけた。
その場でムヒュルは、カリオンの手下であるケパイが密本の刺客であることを見抜き、斬りかかる。
それを見たカリオンは急に態度を変え、自らチョン・ギジュンだと名乗るのだった。
- 第19話
カリオンがチョン・ギジュンであることを知った世宗は、ムヒュルとケパイが刀を突き付け合う緊迫した状況下で、文字に関する討論を持ちかける。
2人の議論は平行線をたどるが、ユン・ピョンが駆けつけたことで力のバランスが崩れ、世宗が殺されそうになる。
だが、すぐにチェユンも来たため危機を回避し、ソイの仲裁によりその場は解散となるが・・・。
宮廷に戻った世宗は、ギジュンに指摘された自分の本心のことで悩む。
「文字を作ったのは民に責任を転嫁するためであり、世宗は民を愛していない」という言葉を否定できないのだ。
また、新しい文字が社会に及ぼす影響に対し、自分では責任が取れないことにも気づかされ、文字の頒布に迷いが生じる。
広平大君は、新しい文字を使った翻訳本を秘密裏に印刷しようとしていた。
だが密本に見つかり、監禁されてしまう。
その翻訳本が儒教書ではなく仏教書であったため、ギジュンは激怒して広平大君を殺害し、遺体を宮廷に送りつける。
ただでさえ意気消沈していた世宗は、息子の死で我を失いそうになる。
そんな王の姿に失望したチェユンは、歯に衣着せず怒りをぶつけるのだった。
- 第20話
息子を殺され、あらゆる意欲を失いかけた世宗だったが、チェユンの言葉に触発されて強い意志を取り戻す。
密本の妨害をかわして文字を世に広めるため、世宗は秘策を立てた。
大君の死により乱心し、暴君に豹変したと見せかけてソイら女官たちを逮捕・拷問し、官奴に降格して地方に追放したのだ。
だが地方の村に到着したソイたちは、官奴にはならず、物乞いや子供を通して新しい文字を広める活動に着手していた。
密本は一連の大芝居にまんまとだまされるが、ひょんなことからソイたちが官奴になっていないことを知り、世宗の意図に気づく。