「根の深い木」のあらすじ

各話あらすじ

第1話



朝鮮王朝の高官シム・オンの下男である少年トルボクは、知的障害のある父ソクサムを誰よりも大切にしている。


父をからかう者には、たとえ大人でも殴りかかって仕返しをするのだった。


時の国王は世宗(セジョン)。だが実権は父の太宗(テジョン)が握っていた。


邪魔者を容赦なく殺していく父の独裁ぶりに、若き世宗は傷つきながらも黙って従うほかなかった。


しかし岳父のシム・オンが標的となるや、世宗は当人に密旨を送り明国に逃がそうとする。


ところが太宗が先回りして密旨の内容を差し替え、シム・オンを逆賊に仕立てあげてしまった。


シム・オンは世宗をかばうため、黙って毒薬を仰ぎ、命を断つ。


王妃の昭憲王后は、世宗のせいで実父が死んだと夫をなじるのだった。


シム・オンに密旨を届けたソクサムも、逆賊として捕らえられ殺される。


トルボクは、父を死に追いやった人物に怒りを爆発させた。



第2話



無実の罪で捕らえられたシム・オンの下男たちは、ソクサムの死に激怒し脱獄騒ぎを起こす。


命からがら逃げたトルボクと、幼馴染のタム。2人は偶然行き会った世宗と昭憲王后に、それぞれ助けられた。


だが、世宗の行動を見張っていた父の太宗が、トルボクを殺すよう命じる。


常に父の言いなりで無力感にさいなまれてきた世宗は、この時初めて「朝鮮の国王は私だ」と抵抗したのだった。


しかし太宗から「お前の目指す朝鮮とは?」と問われても答えられず、王の座から降りる決意をする。


ところが太宗から届いた空の重箱を見て、自分が目指すべき朝鮮像を悟るのだった。


一方、世宗に救われたトルボクは、儒教の聖地とも言えるパン村に預けられる。


だが反抗的な態度を貫いたため、納屋に監禁されてしまった。



第3話



前夜、父の太宗に逆らった世宗は、臣下らの前で父に謝罪し命乞いをする。


だが本心でないことを見抜かれたため、父にだけは自分が目指す朝鮮について明かした。


武力は最小限にとどめ、話し合いと説得により国を治めたいと語る息子の野望を、太宗は一笑に付すのだった。


世宗は優秀な若者を集めて研究に専念させる集賢殿の設置を決める。


朝鮮の建国時に、王ではなく宰相が実権を握る体制を理想に掲げたチョン・ドジョンは太宗に殺される。


だが生前のドジョンが作った秘密結社、密本は弟のチョン・ドグァンに引き継がれていた。


結成時の理念が書かれた「密本之書」が見つからず、ドグァンは組織の再建に手こずっていたが、それをようやくパン村で入手する。


しかし太宗の軍に追われて逃げ出す際、同じくパン村からの脱出を図るトルボクに馬もろとも奪われてしまう。


逆にトルボクは、父の遺書が入ったきんちゃく袋をドグァンに取られてしまった。


かたや世宗は、チョン・ドグァンと息子のギジュンを太宗の軍から守るよう剣豪ムヒュルに命じる。


ギジュンこそ、幼き日の世宗に太宗の矛盾を指摘したうえで「お前には何もできない」と断言した男だった。


世宗が思い描く理想の朝鮮像の原点は、彼との出会いにあったのだ。



第4話



秘密結社・密本を率いるチョン・ドグァンは、太宗により殺害される。「密本之書」を捜す手がかりとなるトルボクのきんちゃく袋は、息子のチョン・ギジュンに託された。


この日、パン村から逃亡したトルボクは、北方の国境地帯で女真族と戦う軍への入隊を果たす。


太宗が死んで国政の実権を握った世宗は、経筵(キョンヨン)という討論会をたびたび開き、集賢殿の学士らの論理を武器に、次々と悪法を改正していく。


北方の武官コ・インソルが何者かに殺害された。


カン・チェユンの名を得たトルボクが、その知らせとサンスクリット語の経典「毘婆沙論(びばしゃろん)」を宮廷に届ける。


チェユンはそのまま、宮廷の兼司僕に就任した。


「毘婆沙論」を預かった学士ホ・ダムも集賢殿で殺される。


世宗の殺害をもくろむチェユンは集賢殿に侵入するが、剣豪ムヒュルに見つかり捕らえられる。


だが、コ・インソル事件の捜査を担当していたことから、ホ・ダム事件の捜査責任者に抜擢された。



第5話



ホ・ダムの遺体を検死したパン村の白丁カリオンは、窒息死だが首を絞めた跡はないという謎の報告をした。


だがチェユンは、武術の師匠イ・バンジの暗殺秘技「乾溺死功」と確信する。


カリオンもそれに気づき世宗に報告するが、チェユンには明かさなかった。


集賢殿の立ち入り禁止が解かれる前夜、チェユンは最後の現場検証に出向く。


学士ユン・ピルの侵入現場を目撃して捕らえるが、仮面をつけた男にピルを連れ去られてしまった。


男の行方を追っていたところ、爆発音とともに宮中の鋳字所が燃え上がった。


チェユンは犯人がいると確信して炎の中に飛び込むが、鋳字所内で倒れていた女官ソイを背負って出てくる。


ぐったりしているソイを、容赦なく問い詰めるチェユン。


その鬼気迫る様子を見て、剣豪ムヒュルは彼がトルボクであることに気づくのだった。



第6話



鋳字所から学士ユン・ピルが焼死体で見つかった。


犯人を目撃したチェユンは世宗に呼ばれ、説明を求められる。


チェユンは犯人の動きの再現を装って世宗の暗殺を目論むが、事態に気づいたムヒュルに止められる。


ムヒュルから、チェユンがトルボクであることを聞いた世宗。


命の危険は感じるものの、自分のせいで彼の家族を殺してしまった罪悪感から、処刑を命じられずに悩む。


ユン・ピルの遺体の咽喉から4つの活字が見つかった。


死者伝言(ダイイング・メッセージ)であることは明らかだが「丨 口 亡 己」が何を意味するのか誰にも分からない。


だが、密かに新たな文字の創製を進めていた世宗は、その文字が「密本」を表すことに気づき、秘密結社の存在を知って愕然とするのだった。


また、世宗の密命を帯びた天地契員の学士ソン・サムムンは、殺された2人の遺体にも契員の入れ墨があることを知り、自分たちの知らない計画が進められていることに気がついた。



第7話



パン村に設置した検死所から、ホ・ダムとユン・ピルの2遺体が持ち去られた。


天地契員であるソン・サムムンが、殺された2人にも契員の入れ墨があるかどうかを確認するため盗んだのだ。


先代の王・太宗の右腕だったチョ・マルセンが、密本の存在を証明するため、故チョン・ドジョン宅の地下壕に世宗を案内した。


秘密結社・密本の実在を確信した世宗は、動揺を隠せない。


重臣の中にも密本がいるかもしれないから誰も信じるなと言うマルセンの忠告に、世宗の心は揺らぎ始めた。


相次ぐ学士の死に、世宗は秘密の事業の中断を決めた。


密かにパスパ文字を研究していたチャン・ソンムン校理が作成した資料のみ、女官ソイを通じて手元に残そうとするが、受け渡しを約束した三角山でチャン校理が密本のピョンに殺されてしまう。


連続殺人犯がピョンであることに気づいたチェユン。三角山で再会した2人は決闘を始めた。



第8話



チャン・ソンス校理の遺体が宮中の池で発見された。


遺体の下に敷かれた紙には「花はあくまで花/根にはなれぬ」と大書してあり、密本の宣戦布告であることを示していた。


父・太宗のような強権政治はしまいと心に誓った世宗だったが、ついに臣下に疑いの目を向け始める。


大臣らの反対が強い税制改革を提案することで、反対者の中から密本をあぶり出そうとしたのだ。


また、秘密の事業の再開も決めた。


だが、不本意な統治路線に転じた世宗の心中は複雑だった。


そんな折、チェユンから仇討ちへの強い思いを聞かされる。


「決意のない私など私ではない」という彼の言葉に、世宗は信念を曲げかけていた己を恥じ、改めて自分の道を歩むことを決めたのだった。



第9話



自分の信じる道を行くと決意した世宗は、チェユンに密本の捜査を一任する。


一連の事件の黒幕は密本と聞かされたチェユン。


遠い昔、父・ソクサムの遺書を奪っていった男らも密本だったことに気づいた。


男らが持っていた「密本之書」を、チェユンはいまだに隠し持っていたのだ。


世宗は学士ソン・サムムンとパク・ペンニョンに、極秘で朝鮮語の文字を作っていることを明かし、出来た文字の評価を依頼する。


2人は漢字ではない独自の文字を作るなど、中華の秩序を逸脱する行為だとして反発し、困惑する。


税制改革のための世論調査を任されたナム・サチョルの家に、暴漢が押し入り、「王の事業に協力する者は皆殺しにする」という書を残していった。


現場に残された刀から、白丁カリオンが逮捕される。



第10話



世宗が考案した朝鮮語の文字を見たソン・サムムンとパク・ペンニョンは、口では辛口の評価をしつつも、発声器官や音の原理を文字化するという発想に感服した。


白丁カリオンの無実を確信したチェユンは、真犯人を捕らえるために奔走する。


新しい文字の完成のため、カリオンに密命を下していた世宗も、女官ソイを通じてチェユンに無罪の証明を依頼した。


チェユンは事件がナム・サチョルの自作自演であったことを突き止め、カリオンの救出に成功する。


一方、パン村や宮中に潜む密本員らは、第3代本元がカリオンであることを知り、驚くのだった。



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