「名家の娘ソヒ」のあらすじ
時は1894年。夫に先立たれたユン氏夫人は、伝統あるチェ参判宅を守っていた。チェ家のひとり息子チスと愛のない結婚をしたビョルタンは、下人として入ったクチョンと愛し合い、幼い娘ソヒを置いて駆け落ちする。その後、クチョンの正体が、ユン氏夫人が手篭めにされて出来た息子キム・ファンだとわかり、チスは異母弟に妻を奪われたことに激怒。そんな時、没落した両班のピョンサンがチスを罠にかけて殺害してしまう。数日後、ユン氏夫人もコレラで他界し、肉親を亡くしたソヒは、下人のギルサンに見守られて成長する。チェ家を守ることを使命に生きるソヒだが、親戚のジュングの策略で土地の権利書を奪われてしまう。いつかジュングに復讐し、土地を取り返すと固い決意を胸に故郷を離れたソヒは、日本との親密な関係を築き、富と名誉を手に入れてギルサンと結婚する。そして、物語は甲午農民戦争、甲午改革、乙未事変などの韓国近代史を背景にして進行し、1945年、ソヒはようやく再び故郷の土地を踏む。
各話あらすじ
- 第1話
【第1話】お前は誰だ
河東(ハドン)平沙里(ピョンサ)の裕福な名家チェ家には子供は幼い一人娘のソヒだけで、跡取りがいなかった。ある日、チェ家に突然グチョンと名乗る男が現れ、下男になりたいと申し出る。グチョンを見たソヒの祖母ユン氏は、内心驚愕するも、それを承諾する。そんな中、役人達が東学党の一味を探しにやってきて、グチョンが疑われる。しかし日頃、冷たい性格のソヒの父チスが、妻の実家から来た下男だとかばうのだった…
- 第2話
【第2話】心の中の地獄
山寺に参拝に行く途中、山賊に襲われたソヒ母娘達とグチョン。
ソヒと下女を先に逃したグチョンとソヒの母は山中で一晩過ごす羽目になる。
何事もなく家に戻るが、二人の仲は村で噂の種になってしまう。
惹かれあう二人を見て、ユン氏は人知れず二人を村から逃がすように仕向ける。
消えた二人に激怒するチスはあの男の正体を知っているのでしょうと、ユン氏につめ寄るが…
- 第3話
【第3話】母上を返して
戻らぬ母を慕って、ソヒは皆に当たり散らす。辛抱強くなだめるギルサンは、ほうびに仮面劇を見に行かせてもらう。
同行した農夫ヨンは、昔の恋人ウォルソンの元へと向かい、巫女の娘という理由で結婚しなかったのは間違いだったと二人で嘆く。一方、チェ家の下女クィニョはチェ・チスの子どもを産むべく画策を始める。
クィニョの野心を知った没落両班のイ・ピョンサンはクィニョに良からぬ知恵を与え、共犯を持ちかける。
- 第4話
【第4話】毒蛇
チスはグチョンが、ユン氏が生んだ隠し子、キム・ファンであると確信する中、妻とファンが智異(チリ)山に隠れているのを知る。
ソウルから金の無心に来た又従兄のジュングに最新式の猟銃を求めさせ、ファンへの殺意を燃やす。
幼いソヒから見下され、チスからも蔑まれ、身分社会の理不尽さに怒りを隠せない下女クィニョは、妊娠しチスの子だと訴えればいいと、両班ピョンサンの仲介で農夫チルソンと交わる。
- 第5話
【第5話】嫉妬にかられて
ファンを仕留めるため、チスはカン猟師を山から呼びよせ、猟銃の使い方を練習し始める。
それを知ったユン氏は過去の罪の深さに苦悩する。ソヒは、父の友人の息子イ・サンヒョンと初めて出会う。
(なし)大人達は二人を将来、結婚させたいと言うが、わがままに育った二人は互いに反発する。
一方、農夫ヨンの妻カンチョンは、夫を奪った女は許さないと、ウォルソンの家に押しかけ口汚く罵る。
暴力と屈辱を受けたウォルソンは、ヨンとの愛に絶望し、姿を消してしまう。
- 第6話
【第6話】人間狩り
純朴なカン猟師に惚れられ無理やり迫られたクィニョは、妊娠さえすれば誰の子でも構わないと体を許す。
一方、山奥でひっそりと暮らすソヒの母は、娘に対する思いで胸が張り裂けそうになりながらも、ファンと心を通わせ合う。
苦しい生活の中で、二人は人を愛する喜びを初めて知るのだが、憎しみに満ちたチスは、ファンと自分の関係を知りながらも、追跡の手をゆるめない。
- 第7話
【第7話】血の絆
ついにファンを見つけるチス。ファンは手負いの傷を負いながらもソヒの母を背負い逃げる。
追い続けるチス達にイノシシが襲いかかり、かばった下男が大けがをする。
やむなくチスは家に戻り、ファンへの複雑な気持ちを整理しようとする。
クィニョの妊娠も確実になり、チェ家の財産を乗っ取るには、いよいよチスが邪魔になる。
クィニョはピョンサンに、今度はあんたの番だと、チスの殺害を促す…
- 第8話
【第8話】真夜中の火事
大晦日の晩。ピョンサンはついに計画を実行に移す。離れで一人寝ていたチスは、たやすく首を絞められ絶命する。
直後に村の狂女が火をつけ離れは全焼する。
これで、あの女が殺したころになるとクィニョ達はほくそ笑む。
めでたい正月が悲しみの葬式になり、ユン氏は衝撃のあまり声も出ず、幼いソヒの喪服姿は人々の同情を誘う。大げさに泣きわめくクィニョに、まるで亭主が死んだみたいだと、人々は不思議がりだす。
- 第9話
【第9話】クィニョの野心
ユン氏は農夫ヨンから、チスの死体から出た麻縄を渡される。
そしてチスが他殺であることを疑い始めたユン氏の前で、クィニョがお腹の子の父親がチスであると告白する。
クィニョの犯行を確信したユン氏は、暴れるクィニョを縛り上げ、ソヒの父チスが父親であり得ない事実を突き付る。
クィニョは自分の野心が打ち砕かれたのを知り、すべてを暴露するのだった…
- 第10話
【第10話】欲望の果てに
強気のクィニョは、チェ家の財産は農民から奪い取った。
私の欲が罪なのかと、ユン氏をののしる。農夫チルソン、没落両班のピョンサンも捕まり、役人の取り調べが始まる。
心正しいピョンサンの妻は、絶望と罪を息子達に残さないために、首をつって自殺する。
大騒ぎの平沙里に、事の一部始終を秘かに傍観していたソヒのとおえん又従兄のチョ・ジュングが現れる。
欲望むき出しのジュングに幼いソヒも敵意をみせるが…。