「明成皇后」のあらすじ
■第1話
1864年、急逝した哲宗の跡を継ぎ、朝鮮王朝第26代の王、高宗が即位した。 哲宗に世継ぎがいなかったことによる、政治的取引の産物であったが、これにより権力を握ったのが、王の実父である大院君であった。 大院君は、安東金氏や豊壌趙氏の勢道政治により、王族でありながら不遇の日々を強いられた。 そうした状況を打破するべく敏腕を振るう大院君にとって、直近の課題が2点あった。 第一に大王大妃趙氏による垂簾聴政を終わらせること、第二に高宗の王妃を定めること。 そこで、妻である府大夫人閔氏の一族である、閔ジャヨンに着目する。
■第2話
父を早くに亡くし、没落した家門の娘である閔ジャヨンは、外戚の干渉を阻もうとする大院君にとって好ましい王妃候補であった。 ところが大王大妃趙氏も一族の娘を候補と目していた。 大院君は大王大妃に、垂簾聴政を終わらせる代わりに、王妃選びを一任すると持ちかける。 大院君が政治生命をかけて挑む一大事業、景福宮の再建工事は、財政難に悩まされていた。 大院君は安東金氏の座長、金左根を訪ねる。 金左根は大院君を恐れ、大金を寄付すると申し出て、宴を催すのだが…。
■第3話
宴の料理に毒を盛られたと、安東金氏を恫喝する大院君一味。 金左根は大院君の意図を察し、大王大妃の垂簾聴政を終わらせることに協力する。 大王大妃は垂簾聴政を降りることを宣言し、後事は大院君と協議して決めるよう言い残して御前を立つ。 こうして大王大妃に代わり実権を握った大院君は、言葉巧みに大王大人の約束を反故にし、閔ジャヨンを王妃に選ぶ。 しかしそんなことは、封書係である宮女李氏を溺愛する高宗には知る由もなかった。
■第4話
閔ジャヨンが王妃に決まり、兄の閔升鎬らは歓喜する。 大院君は王妃を迎え入れることを口実に、大王大妃の居を楽善斎に移し、豊壌趙氏の勢力を抑えるとともに、金炳学を抱き込み、安東金氏一門を懐柔しようとする。 そんな大院君も、景福宮の工事の進度が上がらないことには業を煮やしていた。そんなある夜、工事現場が火災に見舞われる。
■第5話
政治生命をかけた景福宮が火に包まれたことで、大院君の怒りは頂点に達し、営建都監である実兄の興寅君を叱責する。 この火災を反対勢力の示威と考えた大院君は、王室の秩序を確立することを急ぎ、幾多の手続きを短期間で済ませ、高宗と閔ジャヨンを成婚させる。 しかし高宗はその夜、閔ジャヨンと床を共にせず、李尚宮のもとに走る。
■第6話
周囲に説得され西温突を訪れた高宗を、王妃はやさしく李尚宮の部屋に行かせる。 翌朝、大院君の不意の訪問にも、王妃の機転で事なきを得る。 大院君は王と王妃を前に、信用するに足るのはこの3人だけだと諭すが、心中を察することのできない王妃の表情に、嫌悪感を覚える。
■第7話
王道政治の回復と万民平等という政治的理想を金炳学に語る大院君。 その矛先は、勢道政治と結託し、守旧勢力の巣窟と化していた書院へと向かう。 大王大妃はこれに正面から反対し、大王大妃の一族である趙寧夏も、金左根の息子である金炳冀と会談するなど、対決姿勢を強める。 一方、宮中では王妃と王が疎遠であるという噂が広まる。 府大夫人は宮中を訪れ李尚宮を叱責し、閔升鎬は王妃を軽んじる大院君に不満を抱く。
■第8話
大院君は景福宮の火災の原因究明を口実に、民心の引き締めを図ると共に、火災によりさらに逼迫した財政を補うため、人頭税や通行税といった新たな負担を民に強いる。 異を唱える重臣たちを前に、西欧の脅威を語る大院君のほおには涙が伝う。 一方、高宗に袖にされ、読書で夜を明かす王妃閔氏。その徳の深さに、同副承旨を務める高宗の兄、李載冕ら周囲の信望は増すばかりであった。
■第9話
高宗の寵愛を受けた宮女李氏の妊娠が判明。 大院君は王の血筋であれば嫡庶を問わず世子に任命する意向を明らかにする。 西温突にて一人夜を明かす明成皇后の立場は悪くなるばかりだ。一方、開国を迫る西洋列国の圧力が強まる中、大院君の父である南延君の墓が西洋人によって暴かれる事件が起こる。 朝廷の重臣たちを一喝する高宗に、大院君は目を細める。
■第10話
宮女李氏が男児を出産。王室では李氏の処遇をめぐり、論争が起こる。 大院君は李氏に高い品階を与えようとするが、大王大妃や朝廷の重臣らはこれに反発する。 また、王妃閔氏を推す府大夫人や閔升鎬は、大院君が王妃を疎んじていることに不満を募らせる。 大院君は景福宮の工事による財政の逼迫を打開しようと、当百銭という新貨幣を発行するが、貨幣価値は混乱。 大王大妃を筆頭とする豊壌趙氏や安東金氏の勢力は、こうした民衆の不満に乗じ、大院君の独裁に歯止めをかけようと画策する。
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各話あらすじ
- 第12話大院君が高宗の行動に怒り出すと、高宗はその全てを明成皇后のせいにして恨む。
明成皇后は国の君主として当然たる行動だったと告げる。だが、親不孝を犯したとイライラする高宗。
一方、大院君は居間で哲宗の逝去を目前に切迫していた時期の事を思い出す。自分が息子を王座に就けるために耐えてきたあらゆる侮辱や辱められた事を思い浮かべながら、そんな自分に高宗が逆らってはいけないのだと独り言で呟く。
翌日から大院君は示威でもするように、宮への出入りを一切せず、門外不出する。 大臣らは王と大院君の顔色を伺いながらイライラする。
結局、この問題を解決することができる者は自分自身だけだと思いついた高宗は、父親に謝ろうと大院君のもとへ向かう。
しかし、高宗の行動が明成皇后の助言に寄るのだと思って忌々しくなった大院君は、もう一度李尚宮の息子を元子に就けようと言い出すのだが・・・
- 第13話李尚宮の息子を元子に就かせようとする理由は、今まで宮内で‘王位決定権’のために女性たちの権力争いで朝廷重臣らが女性たちにこびる事が繰り返されて、国が危くなったことが多く、それを防ぐためにも早く世子(王位後継者)を即位させるべきだと主張する大院君。
大院君が永保堂李氏の息子を元子に任じようとしていると噂が宮内に広まり、それが既定の事実として受け入れられ、早くも永保堂にこびる者が後を絶たない。 一方、景福宮への移居を前にして、大院君は仕上げ工事が不十分である事を口実に大王大妃を昌徳宮に残そうとする。大院君の本音を見抜いた大王大妃はこれからは絶対政事に口を出さないと約束し、完全に大院君に頭を下げてしまう。
そんな中、明成皇后はもっと物寂しい身の上になり、王妃を哀れに思った高宗は全てが自分の過ちだと自責し、明成皇后を訪ねる。そんな高宗を涙交じりの笑みで迎え入れる明成皇后。
- 第14話王妃閔氏と高宗は成婚後初めて身と心が一つになって夜を過ごせた。今まで読書に没頭して寂しさを宥めてきた王妃には久しぶりの幸せを感じた。
景福宮再建の歴史的な大工事が終わり、移居の準備で忙しい中、大院君は新しい城にて新しい国を開こうとの意を明かす。
特に、権門勢家が享受してきた特恵を撤回し、また当初の目的から逸れて非理の温床となった書院の撤廃を強く推し進める意を示した。
- 第15話4歳になった完和君、一人で歩けるようになり、さらに千字文まで学ぶ年頃にまでなったのだが、明成皇后にはいまだに跡継ぎが生まれない。これに対して永保堂李氏は、早く王妃様が元子を産んでくれないと、自分と完和君がぐっすり眠れませんよと皮肉げに言い、明成皇后を嫌な気にさせる。
高宗が二十歳になったにもかかわらず、大院君は高宗に親政を勧めるどころか、むしろ後10年だけ自分を信じて従ってくださいというのだった。それほど大院君の権力が頂点に達していたという意味でもあった。
ただし、大院君はまだ王妃から跡継ぎが生まれないため、後継者問題がはっきりしていない事が不安であった。 今まで完和君を元子に就かせる事を強く反対してきた大夫夫人閔氏も、もうこれ以上の反対は出来ない。そんな中、今回は王妃の兄閔升鎬(ミン・スンホ)が進み出て、安東金氏・豊壌趙氏と接触する。閔升鎬は自分が勢力を呼び集めているので今回だけは大院君の願い通りにはいかないと明成皇后に自負する。だが、明成皇后は今までよりもっと大きな災いを招く事になるはずだ、大院君には立ち向かわない方がいいと助言する。
- 第16話大院君は朝廷重臣らを呼び集めて高宗に永保堂李氏が産んだ王子を元子に就かせるよう奏請しようとする。しかし、後日明成皇后が王子を産む場合を恐れて、大臣らはあらゆる口実を立てて、姿を見せない。
早くも両方の顔色を伺う大臣らの態度に、大院君は嘲笑いを見せながら、こういう事を恐れて一刻も早く元子を立てて改革に取り組むべきだと主張する。
四面楚歌になった明成皇后の立場を配慮して高宗は他の件はともかく、今回の件だけは自分の意志を曲げることはできないと大院君の意見を断る。
これに対し、大院君は自ら明成皇后のもとにまで訪れて、一刻も早く元子を決めるべき理由を説明し、もし後日明成皇后が王子を産む場合にはその王子を元子に就かせる事と、もしも子どもが産めない場合にでも王妃の座は守ってあげると約束する。
大院君のそんな話に、明成皇后は不満な表情すら見せず、終始一貫して心を察する事のできない微笑みだけを見せつづける。しばらく後、その微笑みに隠されていた真実が明らかになる。それは、明成皇后の身に懐妊の兆しが見えていたのだ。
- 第17話王妃閔氏の懐妊が判明し、宮廷中にその知らせが広がり、今まで大院君が永保堂李氏の産んだ王子を元子に就かせると主張しても反対の一言も言えなかった人たちが、突然態度を変えて王妃閔氏を祝福し始める。
さらに、もう高宗の宝算が二十歳になり、王妃も懐妊したので大院君の摂政を廃し、高宗が親政を始めるべきだと騒ぎ始める。
また、以前王妃閔氏が流産したのも、大院君が捧げた山参(サンサム:山に野生する高麗人参)のせいだという噂まで広がり始めた。
窮地に追われつつある大院君。閔升鎬と趙寧夏は王妃の懐妊を機に高宗の親政開始を主張しながら仲間を呼び寄せ始める。
一方、大院君は真夜中、私服の姿で高宗と明成皇后を訪ねてきて、懐妊を祝福しながらもう一度山参を捧げる。山参をめぐった自分の噂は承知の上だと言いながら、その誤解を解いてから自ら身を引くと宣言する大院君。高宗は大院君の行動に呆れて、露骨に不満を示すのだが・・・
- 第18話高宗と大院君の不和説が出回り、大夫夫人閔氏は高宗のもとを訪れて、父親は見かけとは違って心の弱い方で今回の事で一晩中泣いていたと伝える。しかし、二度と雲?宮に行って謝ったりはしたくないときっぱり断る高宗。
王妃閔氏は
領相金炳学を呼び寄せて、いつか大院君も摂政を廃し、高宗が親政を繰り広げるのは決まりきっている。でも、それを陰でひそひそと話し合うのは余計な悪臭を漂わせるだけなので、その話題を表に引き出すべきだと主張する。しかし、最近近海に欧米船が頻繁に出没しているので、まだ大院君の助力が必要であると金炳学の仲裁を頼む。王妃閔氏の情勢に関する判断力に感心する金炳学。その後、高宗と大院君の疎遠していた関係は、力を合わせて欧米勢力を退けていくうちに自然に解決される。 これでようやく朝廷が安定する。
そんな中、王妃閔氏の陣痛が始まる。初出産という不安と元子を産まなくてはならないという負担の中で、王妃閔氏はついに念願の元子を産む。だが、赤ん坊の身体を観察していた王妃の母親李氏は思わず悲鳴をあげてしまうのだが・・・
- 第19話皆が待ちに待った元子。しかし、その元子は肛門が塞がって便通ができない‘鎖肛’という病を負って生まれたのだ。
そんな事は知らない高宗は赤ん坊を抱いて、これからはどんな事があっても元子と自分が絶対守ってあげると王妃閔氏を慰め励ます。やはり何も知らない王妃閔氏、へとへとに疲れて横になったまま夢でも見ているかのような幸せな微笑を見せる。
大殿に戻って母親大夫夫人から元子の病名と後数日しか生きることができないと報告された高宗は虚脱感を覚える。
宮廷内外に噂が広まり、永保堂李氏は口腹に差がある王妃に天罰が下ったのだと嘲笑する。
また王妃閔氏の兄閔升鎬は、大院君が捧げた山参のせいに違いないと、大院君を深く恨む。 一方、大院君は西洋医術でその病気を治したと聞いたことがあるので、西洋医院で直してもらうのはどうかと高宗に提案する。高宗は元子が助けられるということで手術を承諾するのだが、大王大妃趙氏は尊い元子の身に刀を触れさせることはできないと強く反対するのだが・・・
- 第20話大王大妃趙氏の強い反対に、大院君もこれ以上手術が推薦できず、一旦できる限りの事は全部やってみてはどうかと一歩譲る。
薬を処方してからしばらく元子は平穏な姿を取り戻し、母乳を飲み始める。それでみんなほっとして元子が生きられると希望を抱く。
一方、閔氏一家と趙寧夏は元子の誕生をきっかけに大院君の摂政時代を終え、高宗が親政を宣するべきだと主張しながら人を呼び集める。
そんな動きは予想していたかのように、彼らの動態を徹底的に監視する大院君。
しかし、元子は結局三日を超えず、息を引き取ってしまう。
王妃閔氏はまるで気が触れたように元子に添え乳したり、またお月様に元子の代わりに自分を連れて行ってくださいと泣き喚く。
- 第21話亡くなった元子の葬儀を執り行うために遺体を運び出そうとする。
だが、王妃閔氏はまるで元子が生きているような言動を取りながら元子の遺体を渡そうともしない。そして宮廷内には王妃の気が狂ったという噂が広がる。
こんな機会を狙っていたかのように永保堂李氏は高宗を慰めるという名目で幼い完和君を先立たせて大殿に訪れる。
先に訪れていた大院君は完和君が大分大人しくなったと可愛がる。そして、完和君と一緒に宮廷のあちこちを見回る。まるで、完和君を元子に就かせるしか他に方法はないと強調するかのように・・・
王妃閔氏は大院君が訪ねてくると、盛大な葬式を行うわけにはいかないが、代わりに国師堂で元子の魂でも慰められるよう許してくださいと頼み入る。大院君が承諾すると、やむを得ず王妃閔氏は元子の遺体を渡す。
喪服姿で国師堂に入った王妃閔氏は元子の産着をなでながら、今母は片方の翼を失った鳥のような状態だが、後日蘇って母のもう一つの翼になってくれ、それで一緒にゆうゆうと飛んで行こうと呪文を唱えるように祈りつづける。そして、これから私は絶対涙を見せないと誓う。