ヒューマンドキュメンタリー 愛
出会いと別れを通して愛を探し求める家族の話
『君は僕の運命の人』、『妻、キム・ギョンジャ』などで視聴者を感動させた「ヒューマンドキュメンタリー 愛」が2006年に引き続き2007年、再びお目見えする。アップグレードした感動で2007年、ひと味違う「愛」を届け。6ヶ月以上という長い期間をかけて制作した作品である。“出会い”と“別れ”を通して愛を探し求める人々の話 『ヒューマンドキュメンタリー 愛』は、MBCが“家族の月”、皆さんにお届けする意義深い贈り物となるだろう。
制作プロデューサー/ユン・ミヒョン
(2005年『4本指のピアニスト、ヒア』)
1.『ママになりたいおやゆび姫』
先天性の骨形成不全症を患っているユン・ソナさんは、この世に産まれる前、母親のお腹の中ですでに骨折していた。生後20日からは電話のベルの音でも骨折、母親が着替えさせる時でさえ骨が折れた。一級障害者として認定を受けた彼女にとって、平凡な生活をすること自体が挑戦なのだ。しかし、彼女の笑顔とセンスのあるトーク、そして明るい性格は、周囲の人に彼女が病気であることを忘れさせる。彼女の子供の頃の夢はアナウンサー。1999年、ネットでラジオ番組を作り、サイバージョッキーの活動を始める。彼女の放送は口コミで広がり、ついにはDJの夢を叶える。その放送を通して出会った運命の人、ピョン・ヒチョルさん。ゴールインして5年目を迎えた今も、出勤前はソナさんの食事を用意し、家に戻ると彼女の手足を拭いてくれる。ソナさんにとって夫がかけがえのない存在であるのは間違いない。その夫のために子供を育てようと心に決めたのだ。これまで妊娠のために病院を訪れたことはない。何よりも周囲の反対が大きかったからだ。そして子供が大きくなった時、母を恥ずかしいと思うことが怖かったが、子供が誇れるような有名なアナウンサーになれるよう努力するという決意と共に心に決めた。試験管ベビーなら病気の遺伝を防ぐことができる。だがその道のりは複雑で時間もかかり苦痛が伴う。それでも2人は愛の結晶を待ち望み、茨の道を歩んでいく。果たしてソナさんはママになれるのだろうか。夫婦の5ヶ月の道のりを歌手ユン・ドヒョンのナレーションでお届けする。
2.『さよなら、パパ』
私たち家族に残された時間は1ヶ月。2人の結婚は簡単ではなかった。ジュノさんが定職についていないことを理由に結婚に反対する両親を押し切り、ウニさんは1997年ジュノさんとめでたく結婚。愛する人と幸せな結婚生活を送っていたが、幸せは束の間だった。2人の愛の結晶、ヨンフンを出産した後、2人目を授かってから3ヶ月目、ジュノさんが大腸癌で倒れた。実家の家族は出産に反対したが、ここでもウニさんは意思を貫き通してギュビンを出産する。そして奇跡が起こった。ジュノさんが手術を受けて日常生活に戻ってきたのだ。夫が最初に倒れてからの7年間、子育てをはじめとする生活全般がウニさんの役目となった。夫の病気が再発して入院してからはいわゆるスーパーウーマンになる。早起きして子供たちを送り出して出勤し、仕事中も合間を縫って夫を看病する。そして仕事が終わると子供たちに夕飯を出してすぐまた病院へ行き、看病を終えて帰宅するという毎日。ウニさん自身も甲状腺を患い安静を必要とされているのに、忙しい生活を繰り返す。彼女には死を目前にした夫の世話、二度と戻らないこの時間が一番大切だからだ。全身をガンに侵され、1日に何度も激痛に襲われる。幻覚と幻聴で時には妻のウニさんを見分けることもできない。そんな夫の様子を見守りながら、ウニはついにカトリックの修道士であるジュノさんの弟に頼み、死が近づいていることを家族に知らせる。家族と共に死を迎える心の準備をするために。愛する妻と子供たちを残して行かなければならないジュノさんも事実を受け止めて、家族に最後のメッセージを残す。固い絆で結ばれた家族の絆を女優ハ・ヒラのナレーションでお届けする。
3.『ボルラッ村のソヌの家』
ソヌは自然の中で育っている。誰の目にも21ヶ月の赤ちゃんには見えない。自然の中でのびのびと育っているからだ。ソヌには風が分かる。鳥のように鳴くこともできる。夕日に染まる山を知り、土と石を自分の手で感じて味も見る。昔の生活の中に21ヶ月のソヌがいるようだ。両親も風変わりな人たち。母は世界各国の名山で修行してきた瞑想家イ・ギョンオクさん(45歳)。世の中に失望して40歳まで生きればいいという思いでボルラッ村にやってきた。父は一時、美術塾を経営して稼いでもみたが、金のない生活を夢見ていたイ・ジョングクさん(44歳)。世間から逃げるように村に隠れ住んだ。そんな2人の子供ソヌは、童話の中でだけ存在するような特別な人生を送っている。ソヌにとって自然は唯一の友であり母である。ソヌの日常は特別だ。年を取って授かった子だから甘やかされていると思ったら大間違い。柿の実取り、薪作り、丸太運び、唐辛子摘みなど、全てソヌが1日にこなしている特別な生活だ。夫婦は21ヶ月の幼いソヌをありがたい働き手と思っている。そんな両親のもと、何でも自分の力で解決する術を習っている。
4.『母の約束』
娘がこの世に生を受けた瞬間、死と向かい合った母。愛するわが子を産むのと同時にガン宣告を受けたアン・ソボンさん(33歳)。2006年9月21日、夫婦が切実に待ちわびた娘、ソユンが産まれた。ソボンさんは娘の誕生と同時に妊娠中の苦痛から逃れられると思っていた。ところが出産の瞬間、娘のソユンがどす黒い血を吐く。母の体の中で10ヶ月の間、ガン細胞と娘が一緒に育っていたのだ。母の体を蝕んでいたガンはすでに胃から肝臓に転移した状態で余命半年の宣告を受ける。耐え難い苦痛に襲われるときはわが子を恨んだこともあると言う母。しかし自分の命よりも尊いわが子の顔を見ていると、苦しみさえ受け止めるようになる。妊娠中ガンが見つかっていたら、この子を産めなかったかもしれない、だから今は私をママにしてくれた神様に感謝していると言うソボンさんは、この時初めてわが子を抱きながら本物の母になる。ソユンが産まれてからすでに100日、ソユン自身も炎症数値が高くて100日まで生きられるかが心配されていた。だが2人は見事耐え抜いた。あいにく病状が急激に悪化したためお祝いはキャンセルとなったが、ソボンさんは力を振り絞って体を起こし、娘を抱きかかえ、夫と一緒に手紙を読み上げる。「生まれてきてくれてありがとう」と。そして闘病生活が始まって7ヶ月目、抗ガン剤治療を始める前日、遅ればせながら100日の記念撮影を行う。最後になるかも知れない初めての家族写真。ソボンさんは娘に1歳のお誕生日を一緒に祝うと約束する。ソユンが「ママ」と呼ぶその日まで生きたいという願いを込めて。果たして母の約束は守られるのだろうか。歌手Rain(ピ)が夫婦の闘病生活を知り、病院を訪問して激励している。
5.『石の詩人と母』
全身が石のように変化していく難病と闘うパク・ジンシクさん(40歳)。彼は「石の詩人」として知られている。麻痺した体と硬くなった指で、石の詩人は「希望」という単語を書く。石の詩人の隣には、彼の世話を続けてきた母、チョ・スンさん(61歳)がいる。20歳までしか生きられないと宣告された彼は、今年、その2倍の40歳になった。母は還暦を迎えた。最近ではマネキンのように硬くなったジンシクさんを起こすのもやっと。『石の詩人と母』は病人がいる家族の話。終わりの見えない闘病生活の中で、家族は少しずつ看病に疲れ、心がすさんでいくのが常だ。それでも石の詩人と母の心は愛という絆で結ばれている。 10歳の頃から歩きにくくなり、14歳からは寝たきりになる。30年もの間、石灰化症で少しずつ体が硬くなり、今はセメントの中にいるような状態。闘病生活を送る中で彼は幾度も涙を流してきたけれど、自分の涙を拭うこともできなくなった。部屋という空間と肉体に二重に捕らわれているジンシクさんは、外に出るために詩を書く。何よりも母のために詩を書く。母の犠牲が無駄にならないようにとの思いから書いている。新しい詩集を見せるたび母はソクジンさんを褒め称える。詩を書くことは新たな人生の始まりとなった。最近になって「年少性皮膚筋炎による頻発性石灰化症」という病名だと知らされた。石灰化症の患者の中でもジンシクさんは世界でもっとも重症なケースだという。年老いていく母と息子。体力の限界を感じながら母と息子の闘病生活は続く。母はいつまで石の詩人を起こすことができるのだろうか。
■話題
感動の余韻を残したMBC「ヒューマンドキュメンタリー 愛」―。 MBCが「家族の月」に特集でお届けするシリーズ「愛」は、夫婦の愛、親子の愛を描いた5部作で、視聴者に大きな感動を与えている。120センチの身長のユン・ソナさんが、夫と共に子供を授かろうと努力する過程を映した『ママになりたいおやゆび姫』は、放送後、多くの視聴者から激励の言葉が届いた。2日後に放送された『さよなら、パパ』は、大腸癌の末期で余命2ヶ月あまりのイ・ジュノさんが、2人の子供と妻との別れを準備しながら互いに慰め合う過程を映して感動を呼んだ。放送後の番組のホームーページには900にものぼる書き込みがあり、「家族の大切さを知り、涙が止まらなかった」との感想が寄せられている。そして17年ぶりに子供が産まれた田舎の話『ボルラッ村のソヌの家』では、ソヌの天真爛漫な表情が笑いを誘い、娘の出産で胃ガンの末期だと知った『母の約束』、全身麻痺の40歳の息子を30年間看病し続けた母の話『石の詩人と母』が続けて放送され、視聴者が涙に濡れた。番組担当のユン・ミヒョンプロデューサーは「家族の大切さを訴えたかった我々の意図を、視聴者の皆さんが理解してくださり感謝している、視聴者の反響はスタッフの励みになっている」と話した。
感動は刺激よりも強い。「ヒューマンドキュメンタリー 愛」5話の主人公たちの話は特別なものではない。ただ子供を産みたい、物質ではなく自分の本当の愛を子供に与えたい、家族ともっと一緒に過ごしたい、子供の1歳の誕生会を見たい、それが彼らの願いなのである。しかし、その簡単なことの前に立ちはだかるもの――障害や病気は人生をさらに真摯なものにする。人がつらい経験から行き着くところはただ一つ、幸せとは日常のささやかな愛だということ。ただあまりにも小さすぎて、見過ごしているか実践していないだけなのだ。『さよなら、パパ』ではお父さんが何度も繰り返す言葉がある。それは「ごめん、愛してる、ありがとう」だ。普段あまり使わない言葉だけど、1ヶ月しか人生が残されていない父親の口から出る時、その言葉の本当の意味を考えさせられる。この感動は私たちに問いかける。ドラマ『ありがとう』、『ヒューマンドキュメンタリー 愛』を見て感じた想いは、私たちに自分の人生を振り返らせる。習慣になっている愛情表現、疎遠になっていく人間関係に気づくだろう。そしてテレビの刺激に慣れてしまっている新たな一面に気づくかもしれない。自分が感動に飢えていたということを。
提供元 : MBC
話数 : 全5話
KNTV初放送 : 2009年08月01日