あらすじ
「健忘症がひどくて…」 付き合って1年になるジヌとハヨン。はた目には普通のカップルと別段かわったところはないが、内実はちょっと変わっている。ジヌは、十度の健忘症なのだ。カラオケボックスで同じ歌を数十回歌い、数日前に顔をあわせたのも忘れハヨンのいとこに何者だと食って掛かり、ハヨンとの約束を忘れることもしょっちゅうで、ハヨンと別れたあくる日にはすでに別れたことを忘れてしまう始末。そんなジヌを見守りながらも耐えこらえるハヨンだったが、二人の関係は常に危機にさらされながらも何とか続いている。健忘症のおかげで喧嘩をし、健忘症のおかげで仲直りをする―。これはもう一種の「ファンタスティック・カップル」だ。 時には薬、時には毒となるジヌの健忘症には、しかし、特別な理由があったのだった…。交際1周年を祝うため、ジヌとハヨンは公園で会う約束をするが、そう簡単に行くはずがなかった。ハヨンは公園で待ちくたびれ、結局はジヌの住む屋上部屋まで訪ね、いつものように口げんかを始めてしまう。口論の末、ハヨンは別れようと言いはなってジヌの家をあとにするが、翌日、ジヌはけろっとした顔で現われ、ハヨンを旅行に誘う。ハヨンは、あきれながらもジヌを憎みきれない。 幼い日のトラウマから、他人に関心を持てば持つほど記憶がこぼれていってしまう特殊な症状を患うジヌは、恋人のハヨンを追えば追うほど記憶が薄れることを恐れるあまり、ついに別れを切り出そうとするが…。