砂漠の泉
放送を通じて集まった若人たちの物語
日本の植民地という暗い時代、放送を通じて集まった若人たち。彼らにとって放送は、目に見えぬ脱出口のような役割を果たす。まるで、砂漠の貴重な泉のように。
「砂漠の泉」は、政治的、イデオロギー的英雄でも活動家でもない普通の若い放送人たちを主軸に、当時の大衆音楽やラジオ放送などをドラマの主たる要素に据え、時代劇の異質さを克服し、当時の状況を再現することで、独特の雰囲気と面白さを提供するだろう。
また、時代への対応の仕方から生じる、親と子の世代的な葛藤を通して、我々にとって近代とは何であるかを再確認させるであろう。
出演 : チャン・シニョンほか
提供元 : MBC
話数 : 全3話
韓国放送日 : 2003年12月17日
KNTV初放送 : 2007年01月07日
登場人物
イニ役(6歳、21歳、24歳)
チャン・シニョン
ラジオ局アナウンサー。
自分の正体性を探すために結婚式場から逃げ出すほど、勇敢でさばけているが、決して利己的でも俗っぽくもない。自らのことは自らが決め、自らが自らを責任持ちたいだけである。ヨンジンとスンモの助力で勉強を続け、アナウンサーになった。そのために、ギヒョンを愛してから、義理と愛の間で葛藤するが、堂々とギヒョンを選ぶ。バクチで財産を食いつぶしていると思っていた父が、実は独立軍の軍資金を援助していたと知り、自分の強情さは父親譲りであることに気づき、父との仲を修復、その強さで愛も最後まで守り通す。
スンモ役(30歳、イガラシ・ヒデオ)
イ・ヒョンチョル
総督府の官吏、放送局の監督官。
自分の利益を侵さぬ以上、ソフトで温和な人間のように見えるが、実は無関心。いったん目標を定めると猛烈な努力で成し遂げ、自分の物を守ることにかけては冷酷である。父親が損得勘定で親日家であるとしたら、彼は徹底した理論で武装した韓日の合併論者である。日本の警察だった父親の過去に対しても同じ立場であり、特殊な親子関係を維持する。だが、父親がイニの父親を殺そうとすることに関しては苦しむ。イニは、彼の心を動かす唯一の人であったから。
オッキ役:シン・ソミ
ヨンナムの恋人で、ヨンジンのレコード会社の専属歌手。
貧しい家の長女に生まれ、居酒屋に売られたが、ヨンジンに歌の才能を見出されて歌手になる。過去を暴露するという脅しに負け、ギヒョンを短波事件の首謀者に仕立てようとするヨンジンとスンモの陰謀に一助する。解放後、体が不自由になったヨンナムを献身的に支えながら、その事件の全貌を明かすのに重要な役割を果たす。
ヨンナム役:チェ・ジェホ
オッキの恋人であり、ギヒョンの友人で、放送局の技術者。
短波放送の内容を整理して、独立軍に伝えている。短波事件で検挙され、ドックによって障害を負わされる。
ギヒョンの父(30代前半)
イム・ヒョンシク)
日本で音楽を勉強している時、日本人女性との間に息子ギヒョンをもうけたが、女性の家の反対でギヒョンを連れて帰国、楽団を転々としながらサックスを吹いた平凡な人物だが、たまたまビョンフとヨンジンの追いつ追われつに巻き込まれ、ヨンジンによって死に追いやられる。イニの父、ビョンフ(40代後半):ユン・ジュサン名家の跡取り息子で、対外的には家の財産を食いつぶす遊び人だが、密かに独立軍“ウィギ団”に軍資金を援助する憂国の士である。たった一人の娘を不穏な世間から守りたくて、強制的に医者に嫁がせようとする。その後、自分の力でラジオ局のアナウンサーとなった娘と和解する。解放後警察幹部になり、ギヒョンの父親の死に関連した事件を調べるが、主犯のヨンジンによって障害者となる。
イニの父、ビョンフ(40代後半)
ユン・ジュサン
名家の跡取り息子で、対外的には家の財産を食いつぶす遊び人だが、密かに独立軍“ウィギ団”に軍資金を援助する憂国の士である。たった一人の娘を不穏な世間から守りたくて、強制的に医者に嫁がせようとする。その後、自分の力でラジオ局のアナウンサーとなった娘と和解する。解放後警察幹部になり、ギヒョンの父親の死に関連した事件を調べるが、主犯のヨンジンによって障害者となる。
イニの母(40代後半):イ・ヨンヒ
典型的な良妻賢母。ビョンフとイニを仲直りさせるために努力する。
スンモの父、ヨンジン
(50代、イガラシ・ヒデノシ)/イ・ジョンギル
ビョンフを検挙しようとしたが、その過程でギヒョンの父親を死なせ、ビョンフが独立軍に渡そうとした軍資金をネコババして不動産に投資、富を蓄積、現在はレコード会社の社長である。計算高く事業家特有の冷徹さとえぐさを持ち合わせているが、私的な関係では寛大で豪胆な一面を見せる。彼にとって世間とは生存競争の場であるがゆえに、正しいこととは得になることであり、間違ったこととは彼の利益を邪魔する全ての事柄であった。解放後、状況が不利になると、米軍政とイ・スンマン政権にすりより、素早く財産を取り戻す。しかし、ビョンフによって過去が暴露されそうになると、彼を暗殺しようとする。だがビョンフは、息子が愛する女の父親であったために、息子と対立することになる。
ドック(40代後半、サトウ・ヨウスケ)
パク・ヨンテ
独立軍に悪名をとどろかす警察官でヨンジンの部下だったが、依然 密な関係を維持している。短波事件を処理し、解放後ヨンジンとの関係にヒビが入り、彼を危機に陥れる証拠を提供する。
ヨンス(40代後半):ホン・ソンソン
ラジオ局の韓国語放送課長、合理的で温和な性格。
ギヒョン役(8歳、23歳、26歳)
ソン・イルグク
ラジオ局のバンドマン。
7歳の時、サックス奏者だった父親を亡くし、父親の友人であるラジオ店の主人、チョン氏のもとに育つ。カフェでサックスを演奏しながら専門学校に通っている時、イニと関わり、サックスをなくしてしまう。3年後、放送局の筆記試験会場でイニと再会、サックスを返してもらい、共に放送局で働くようになって恋仲になる。正直で意志が強く、人に媚びない情熱的な性格だが、向こう見ずだとか、快楽主義者では決してない。あえて言うならば、見識のある暴れん坊である。