あらすじ
その夜--- 暗い目をした一人の男が、人けの無い海岸にたどり着いた。彼は重い任務を背負っていた。同じ夜--- 一人の少女が、ビルの屋上に立っていた。彼女は自ら命を断とうとしていた。孤独な二つの魂は、運命に導かれるように、夜の横浜で出逢う。だが少女が偶然出逢ったその男は、名前も素性も、そして言葉を発することすらも封印された、ただ「暗殺」をおこなうためだけに日本に送り込まれてきた男だった。日本に本来いないはずの人間として、まるで「幽霊(ゴースト)」のように、任務の遂行だけをして消える予定だった男。だが男は少女と出逢い、日本からの脱出に失敗する。そしてその瞬間から、彼は消される対象となる。彼を雇った組織、仲間を殺されたヤクザ、そして情報を握る記者…。複数から追われる四面楚歌の中、男が少女を守りながら、彼らはどこへ向かうのか。帰る場所のない二人の、哀しい逃避行の物語。